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福井地方裁判所 平成3年(わ)62号 判決

本籍

福井市高木二丁目一四一二番地

住居

同市高木一丁目八〇一番地

喫茶店店員

真柄正夫

昭和一七年二月一八日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官片山巌出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一〇月及び罰金八五〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、福井市西開発四丁目七一九番地において、ゲーム喫茶「レーガン」を、同市光陽二丁目七番二三号において、ゲーム喫茶「リンカーン」をそれぞれ経営していたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、所得税の確定申告に際し、右営業にかかるゲーム機売上の一部を除外し、また、「リンカーン」の営業にかかる所得税の確定申告を他人名義で行うなどの方法により所得の一部を秘匿した上

第一  昭和六二年分の実際の所得金額が五五七六万五八〇〇円(事業所得五五六八万八八七〇円-別紙一の(1)修正貸借対照表参照-及び利子所得七万六九三〇円の合計金額)であり、これに対する所得税額が二五四九万七五〇〇円であるのに、昭和六三年三月一五日、同市春山一丁目六番一号所在の福井税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三七二万四三六一円(事業所得)で、これに対する所得税額が二四万九五〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、法定納期限を徒過させ、正規の所得税額との差額二五二四万八〇〇〇円(別紙一の(2)脱税額計算書参照)を免れ

第二  同六三年分の実際の所得金額が三三三一万九二九二円(事業所得三三三五万二二二〇円-別紙二の(1)修正貸借対照表参照-及び利子所得七万六五三三円の合計金額から総合短期譲渡所得損一〇万九四六一円を差し引いた金額)であり、これに対する所得税額が一一六五万七七〇〇円であるのに、平成元年三月一五日、前記福井税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三一一万七六一六円(事業所得)で、これに対する所得税額が一六万〇二〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、法定納期限を徒過させ、正規の所得税額との差額一一四九万七五〇〇円(別紙二の(2)脱税額計算書参照)を免れ

もって、いずれも不正の行為により所得税を免れたものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人の収税官吏に対する供述調書二二通

一  坪田清子の検察官及び収税官吏(四通)に対する各供述調書

一  幸川悦夫の検察官及び収税官吏に対する各供述調書

一  森國治和の収税官吏に対する供述調書二通

一  収税官吏作成の次の標題の各査察官調査書

現金の確定

預金の確定

有価証券の確定

棚卸高の確定

建物の確定

建物附属設備の確定

構築物の確定

車両及び運搬具の確定

器具及び備品の確定

営業権の確定

開業費の確定

敷金の確定

事業主貸の確定

借入金の確定

未払金の確定

未納源泉所得税の確定

事業主借の確定

元入金の確定

申告所得の確定

利子所得の確定

ゲーム売上の確定

喫茶売上の確定

喫茶店の所得の帰属について

経費科目の確定

一  大蔵事務官作成の証明書(「領収済通知書」と記載のもの-真柄正夫分-添付)

一  大蔵事務官作成の証明書(「領収済通知書」と記載のもの-幸川悦夫分-添付)

一  牛若節子作成の飲食店営業許可の照会に対する回答書

判示第一の事実について

一  収税官吏作成の脱税額計算書(六二年分)

一  大蔵事務官作成の証明書(「六二年分の所得税の確定申告書」と記載のもの-真柄正夫分-添付)

一  大蔵事務官作成の証明書(「六二年分収支内訳書」と記載のもの-真柄正夫分-添付)

一  大蔵事務官作成の証明書(「六二年分の所得税の予定納税額の通知書控」と記載のもの-真柄正夫分-添付)

一  大蔵事務官作成の証明書(「六二年分の所得税の確定申告書」と記載のもの-幸川悦夫分-添付)

一  大蔵事務官作成の証明書(「六二年分収支内訳書」と記載のもの-幸川悦夫分-添付)

一  大蔵事務官作成の証明書(「六二年分の所得税の予定納税額の通知書控」と記載のもの-幸川悦夫分-添付)

判示第二の事実について

一  収税官吏作成の「総合短期譲渡所得の確定」についての査察官調査書

一  収税官吏作成の脱税額計算書(六三年分)

一  大蔵事務官作成の証明書(「六三年分の所得税の確定申告書」と記載のもの-真柄正夫分-添付)

一  大蔵事務官作成の証明書(「六三年分収支内訳書」と記載のもの-真柄正夫分-添付)

一  大蔵事務官作成の証明書(「六三年分の所得税の予定納税額の通知書控」と記載のもの-真柄正夫分-添付)

一  大蔵事務官作成の証明書(「支払決議書」と記載のもの-真柄正夫分-添付)

一  大蔵事務官作成の証明書(「六三年分の所得税の確定申告書」と記載のもの-幸川悦夫分-添付)

一  大蔵事務官作成の証明書(「六三年分収支内訳書」と記載のもの-幸川悦夫分-添付)

一  大蔵事務官作成の証明書(「六三年分の所得税の予定納税額の通知書控」と記載のもの-幸川悦夫分-添付)

一  大蔵事務官作成の証明書(「支払決議書」と記載のもの-幸川悦夫分-添付)

(確定裁判)

被告人は、平成元年三月一七日福井地方裁判所で常習賭博・風俗営業等の規則及び業務の適正化等に関する法律違反罪により懲役一年二月・三年間執行猶予に処せられ、右裁判は平成元年四月一日確定したものであって、この事実は検察事務官作成の前科調書によって認める。

(法令の適用)

一  判示各所為 所得税法二三八条一項、二項

一  刑種の選択 各懲役刑と罰金刑の併科

一  併合罪の処理 刑法四五条後段、五〇条

同法四五条前段、懲役刑について同法四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重)、罰金刑について同法四八条二項

一  労役場留置 同法一八条

一  懲役刑の執行猶予 同法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 西村尤克)

別表一の(1)

修正貸借対照表

〈省略〉

別表一の(2) 脱税額計算書

自 昭和62年1月1日

至 昭和62年12月31日

〈省略〉

別表二の(1)

修正貸借対照表

〈省略〉

別表二の(2) 脱税額計算書

自 昭和63年1月1日

至 昭和63年12月31日

〈省略〉

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